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国際交流基金関西国際センター20周年記念シンポジウム「日本語学習者のためのeラーニングとは‐関西国際センターにおける開発と運用‐」報告

国際交流基金関西国際センターでは設立20周年を記念し、2017年8月19日(土)にシンポジウム「日本語学習者のためのeラーニングとは‐関西国際センターにおける開発と運用‐」を開催しました。当日は、日本国内はもとより、海外の日本語教育関係者の方を含む132名にご参加いただき、eラーニングへの関心の高さが窺えました。(当日のプログラム、投影したスライドは、本ページ下部の資料よりダウンロード可能です。)

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                        会場の様子

セッション1では、関西国際センターが開発したウェブサイトやアプリの変遷・概要を説明した後、「アニメ・マンガの日本語」サイト、「まるごと+」サイト、「HIRAGANA/KATAKANA/KANJI Memory Hint 」アプリを取り上げ、(1)開発の背景(時代背景やニーズ)(2)ペルソナの設定(ユーザー像明確化)(3)開発コンセプト(4)コンテンツと工夫(5)反響や活用の5つの観点から開発者自身が説明しました。

セッション2では、新たな展開として2016年に公開した、学習管理システム(LMS)を備えた日本語学習プラットフォーム「JFにほんごeラーニングみなと」の狙いと特徴、そこで開講しているオンラインコースの概要と制作上の工夫、登録者数やコース修了率、ユーザーの声等の運用結果、今後のコースの充実などの展望を、開発者、運用者自身が説明しました。

セッション2の後の30分間の休憩中には、関西国際センターが開発したウェブサイトやアプリ、プラットフォームのデモンストレーションを行い、開発者との直接の意見交換の場となりました。

シンポ2-1.png       セッション1の様子         セッション2の様子     デモンストレーションの様子

セッション3のパネルディスカッションでは、日本大学大学院総合社会情報研究科の保坂敏子教授、早稲田大学大学院日本語教育研究科の李在鎬教授をお迎えし、日本語教育においてeラーニングが果たす役割や意義、課題と展望について議論しました。

まず、「eラーニングが果たす役割や意義」では、冒頭、外部登壇者から専門的な知見や経験を踏まえ、お話いただきました。李先生からは、eラーニングがもたらす新たな教育の形や日本語教師に求められるスキルの変化について問題提起があり、AI時代に日本語教育が手を組むべき相手として、自然言語処理による自律学習支援、教育工学研究者と協力した学習履歴解析など、最新動向を踏まえた事例をお話いただきました。また、保坂先生からは、ICTの教育利用形態と学習観の関係、日本語教育におけるICTの変遷とeラーニングの現代的な役割と意義についてお話しいただきました。国際交流基金関係者からも、海外の日本語教育の動向やニーズを踏まえ、これまで学習機会がなかった世界中の人々に日本語学習の機会を提供する共通基盤としてのeラーニングの役割や意義を再確認しました。

次に、「eラーニングの課題と解決策」では、オープンなeラーニングの課題である「学習継続の難しさ」の解決策について議論しました。「みなと」運用者から修了率を上げるためのコース運用上の工夫を提示するとともに、外部登壇者からも、授業デザインの工夫、掲示板でのディスカッションへの介入やSNSの活用などの工夫があげられ、フロアからは、学習者、教師としての経験に基づき意見が交わされました。

最後に、「日本語教育におけるeラーニングの展望と可能性」として、国際交流基金からは、海外の独習者、潜在的学習者の存在やニーズとeラーニングの可能性、「みなと」の国内、海外を含む日本語教育現場での活用例が示されました。保坂先生からは、「世界中の学習者が生涯学習として学べるオープンな日本語学習のプラットフォーム、日本語のリンガフランカ(共通語)環境はJFならでは」「学習機会の限られている人、孤立した環境の人への教育機会均等に貢献」、李先生からは「時間と空間の壁を超えた新たな日本語学習者の発掘。AIなどの技術革新によってさらに発展する可能性も」「日本型の教育インフラとしてのeラーニングの可能性」「継続的な運用が可能な環境構築を」「開発のノウハウをモデル化し、日本語教育以外の分野の研究者と知見の共有を」など日本語教育におけるeラーニングの可能性、国際交流基金のeラーニング事業への期待の声が寄せられました。

シンポ5.jpg                    パネルディスカッションの様子

シンポジウム後のアンケートでは、100名の方が回答くださり、97%の方からシンポジウムに対して満足との声をいただきました。「サイトの存在は知っていたけれど、開発者から詳しい説明が聞けてよかった」「活用方法のヒントを得た」「制作及び運用に関する具体的な事例が聞け、参考になった」「李先生や保坂先生から横軸と縦軸のお話があり、より広い観点から見ることができた」「eラーニングの可能性、教師としてどう生かしていくか考える良いきっかけとなった」等の回答をいただきました。

関西国際センター20周年を記念し、関西国際センターのeラーニング開発、運用の取り組みを振り返り、参加者と共有するとともに、日本語教育におけるeラーニングの今後の可能性や方向性について共に考える機会となりました。ご参加いただいた方に改めて御礼を申し上げるとともに、当日定員超過によりご来場いただけなかった皆様にも本報告や資料が参考になればと思います。

国際交流基金関西国際センターでは、本シンポジウムを通して得られた知見を生かし、今後ともよりよいeラーニングの開発、運用に取り組んでいきたいと思います。

【資料PDF】

「当日プログラム」

「関西国際センター開発eラーニング概要図」

「関西国際センター開発eラーニングリスト」

スライド

[セッション1] 日本語学習者のためのウェブサイト・アプリ開発

 「関西国際センター開発ウェブサイト・アプリの概要」

 「アニメ・マンガの日本語」

 「まるごと+」

 「HIRAGANA KATAKANA KANJI Memory Hint」

[セッション2] 日本語学習プラットフォーム「みなと」における日本語オンラインコースの制作と運用

 「日本語学習プラットフォーム JFにほんごeラーニング みなと」

 「日本語オンラインコースの制作」

 「日本語オンラインコースの運用」

[セッション3] パネルディスカッション:日本語教育におけるeラーニングの意義と可能性

 保坂敏子 日本大学大学院総合社会情報研究科

 李在鎬 早稲田大学大学院日本語教育研究科

 国際交流基金パネリスト提示スライド


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